人間関係で悩んでいる人からよく聞くセリフがある。
それは、「本当の自分・ありのままの自分がわからない(出せない)」というものだ。
実際に、近年世間から共感を受けているエンタメ作品や人間関係の本を見ると、「ありのままの自分で生きる方法」「自分に嘘をつかず、本当の自分を大切にするメンタル」「ありのままの姿見せるのよ」といった、『ありのまま作品』をよく見かける。
他にも「自分らしく」「自然体に生きる!」と叫んでいる広告も似たようなものだろう。
しかし、少し考えてみて欲しい。
この作品に共感した人はその後人間関係が改善されたのだろうか。
本当にありのままの自分を大切にすれば悩みが解消していったのだろうか。
少々ひねくれた発言に思えるかもしれないが、私個人としては非常に気になる問題なのだ。
いやむしろ、人間関係で本当に悩んでいる人に対して、
「ありのままの自分を大切にすれば、楽に生きれる」という一見それっぽい答えを提示して、
まんまと共感(とお金)を得ようとする向こう側の魂胆が気に入らない(という気持ちに近い)のだ。
少々話がそれたが、今回は私個人が考える「本当の自分」に対する考え方を提示していこうと思う。
目次
人付き合いは、ほどほどの「浅い関係」で成り立っている
最近になって気づいたことがある。
人付き合いなんて、ほどほどの「浅い関係」で成り立っている、ということだ。
上司や先輩、友達、同級生、すべてを含めて深く付き合う必要性は全くない。基本的に上部だけの付き合いをして、もっと仲良くなりたいなと思った人と距離を縮める。よっぽどの友人でない限り、「浅い関係」で十分だと思うわけだ。
最も、相手側もそんなに深い付き合いを求めていないと思う。大体「とりあえず同じクラスだから仲良くしておこう」とか「何となくよく顔を合わせるから話しておこうか」くらいのノリだと感じる。普段交わしているコミュニケーションなんて、上部だけなぞった薄っぺらい会話がほとんどではないだろうか。
たとえば、学生(とくに高校まで)なんかは「今の人間関係がすべてで、これからも大切にするものなんだ」と思ってしまうことが多いだろう。人間関係で失敗したら、「人生終わった」なんて感じるだろう。
しかし、安心してほしい。高校の同級生なんて卒業してしまえば、ほとんど会うことはない。
今日一緒に授業を受けたあの子も、体育の時間で同じチームになったあの子も、大人になってしまえば一生会うことはない(私だけかもしれないが)
長くなったが、人間関係なんて「ほどほど」に、つかず離れず、浅く付き合っていれば成立するのだ。みんなと仲良くしなきゃなんて思わなくていいのだ。
本当の自分なんてない
さて、この記事の本題に入りましょう。
では結論から申しますと、
私は、「本当の自分なんてない」と考えている。
なんだかんだ言っても、私たちは人に合わせて過ごしているだけだと思う。
仲の良い友達といる時、あんまり仲良くない人と話すとき、家族と一緒の時、先生、先輩、目上の人と過ごすとき。きっと相手に合わせて自分を使い分けているはずだと思う。結局、自分なんて相手がいるから存在している訳だ。
つまり、「本当の自分」とは人から見られている自分なんだと思う。他人から見たその人の様子がその人の本当の姿。もちろんその姿がすべてではないが、紛れもなくその人の本当の姿なのだ。
「本当の自分は真面目だ!」なんていくら言ってても、周りが真面目じゃないと思っているんなら、その人は真面目じゃないわけで、
「自分は常識人だ」と自信を持っていても、周りから「こいつ非常識だな」と思われているんだったら、その人は周りに非常識な姿を見せてしまっている。
「本当の自分はもっと信念をもった人間だ」と思ったところで、周りに同調し、自分の意見を出せていない人は、まぎれもなく「人前では信念がない人」なのだ。「人前では信念がない人」。それって本当に信念がある人と言えるのだろうか。
もし「本当の自分」みたいなものを見せたいのであれば、そういう自分を相手に見せなくちゃいけない。結局「自分をどう見せたいのか」を理解しないといけないのだ。
人間関係が楽になるスタンス
ストレスが溜まる場面は、「本当の自分」と違うことをやらなきゃいけない時に溜まるものだと思う。
たとえば、「本当の自分はこうじゃない」と思いながら、相手に取り繕ったりしていると、「自分はみっともない」「こんな自分は嫌い」と感じてストレスが溜まることが多いが、「本当の自分なんてない」と思っていれば、ストレスは溜まらない。
相手に取り繕っている自分も、相手に同調している自分も、「すべて本当の自分」だと思えば、ストレスを感じる必要がない。別に自分のキャラを10個も、20個も持っていてもいいのだ。
まぁ、自分のすべてをさらけ出して、それでもたくさんの人を惹きつける人間なんて、この世界で一人もいないし、自分を「そこそこ」受け入れてくれる人と仲良くして、そこそこで楽しく付き合う道もあると思う。
というのが個人的な自論です。
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